胃や十二指腸の健康状態を確認する胃カメラ検査ですが、実はすべての人が受けられるわけではありません。中には胃カメラ検査ができない人や検査を受ける際に注意が必要な人もいます。
この記事では、胃カメラ検査ができない人の特徴について詳しく解説します。胃カメラ検査が受けられない場合の代替方法や胃カメラ検査を楽に受けるためのポイントなどもまとめているため、胃カメラ検査を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
胃カメラ検査ができない人の特徴として、以下が挙げられます。
ここでは上記7つの特徴についてそれぞれ解説します。
パニック障害や嘔吐恐怖症の人は、胃カメラ検査が受けられない可能性があります。このような病気を持つ方は検査が極度のストレスとなることがあり、検査中にトラウマを引き起こしてしまう恐れがあるためです。
検査中にパニックを起こしてしまうと患者さん自身が危険な状態になるだけでなく、正確な検査も行えなくなってしまいます。
とはいえ絶対に検査が受けられないわけでなく、鎮静剤を使用してウトウトとした状態であれば検査を受けられる場合もあるため、まずは医師に相談してみましょう。
妊娠中・授乳中の人は、検査に使用する薬剤や検査による胎児・乳児への影響を考慮し、胃カメラ検査が受けられないことがあります。しかし妊娠経過が良好であれば、鎮静剤を使わないという条件のもと検査を受けることは可能です。
特に命にかかわる病気が疑われる場合は、産婦人科や小児科を併設している総合病院などで検査を受けることになります。
ただし妊娠によりお腹が大きくなり横になるのが難しい場合、物理的な問題により検査が受けられなくなるため、他の検査方法を検討することになるでしょう。
胃カメラ検査では、検査中の苦痛を和らげるために表面麻酔や鎮静剤(静脈麻酔)を使用することがあります。しかし麻酔アレルギーのある人の場合は、麻酔を使用した胃カメラ検査が受けられません。
過去に麻酔を使用してアレルギー反応が出たことのある人は、必ず事前に医師に相談しておきましょう。
病院によっては、アレルギー反応の出ない麻酔薬に変更してもらうことも可能です。
また胃カメラ検査に麻酔は必須ではないため、麻酔なしでもよければ、麻酔アレルギーのある人でも検査自体は受けられます。
抗血栓薬を服用中の人は、胃カメラ検査を受けられない可能性があります。
抗血栓薬は血液をサラサラにする作用がある薬で、心筋梗塞や脳梗塞の治療に使われています。この薬は出血しやすくなる副作用があるため、この薬を服用した状態で胃カメラ検査を受けると、胃カメラの操作により組織が傷ついてしまった際に出血が止まりにくくなってしまうのです。
抗血栓薬を服用中で胃カメラを受けたい場合、休薬が必要になるケースがあります。胃カメラ検査を受けられるか否かは医師が判断するため、必ず検査前に相談しましょう。
高血圧の人は、胃カメラ検査を受けられない可能性があります。
検査を受けることでさらに血圧が上昇する恐れがあるためです。高血圧の状態が続くと、頭痛やめまい、肩こりといった症状が現れることがあります。
また長期間高血圧が続くことで、合併症を引き起こす恐れもあるため注意が必要です。
特定の疾患がある人は、胃カメラ検査を受けられない場合があります。具体的には以下のような人が該当します。
心疾患や呼吸器疾患がある人は検査を受けられない可能性があるため、必ず医師に相談しましょう。
高齢で体力的に検査が難しいと考えられる人は、胃カメラ検査を受けられない可能性が高いです。
身体機能が低下していたり基礎疾患を持っていたりする場合、胃カメラ検査における合併症を引き起こすリスクが高くなります。
医師と相談し、他の検査方法を検討する必要があるでしょう。
鼻から挿入する『経鼻内視鏡検査』は、経口内視鏡検査と比べて痛みが少ない特徴がありますが、こちらもすべての人が検査を受けられるわけではありません。
経鼻内視鏡による胃カメラ検査ができない人の特徴は以下の通りです。
ここでは上記4つの特徴についてそれぞれ解説します。
アレルギー性鼻炎や重度の花粉症がある人は、経鼻内視鏡検査を受けられない可能性があります。なぜなら、このような病気があると鼻腔が腫れていることが多く、摩擦によって挿入時に痛みや不快感が生じる恐れがあるためです。
この場合は口から内視鏡を挿入する『経口内視鏡検査』に切り替えることを検討しましょう。
鼻詰まりがあると経鼻内視鏡を適切に挿入できない可能性が高く、さらに粘膜で炎症が起きていると挿入時に痛みや不快感が生じる場合があります。
このような場合は検査前に鼻腔拡張剤(鼻腔を拡げる薬)を使用したり、鼻詰まりを改善する措置を行ったりすることで、検査を受けられることもあります。
鼻腔が狭い人も、経鼻内視鏡検査を受けられない場合があります。鼻腔が狭いことで経鼻内視鏡の挿入時に痛みや不快感が生じやすくなるだけでなく、そもそも挿入自体が困難になる場合があるためです。
生まれつきの形状によるもののほか、鼻中隔湾曲症や慢性胃炎などの病気が原因で鼻腔が狭くなっていることもあります。このような場合は原因となっている病気の治療を行ってから検査を受けるか、他の検査方法を検討する必要があるでしょう。
鼻の手術を受けた人は、すぐに経鼻内視鏡検査を受けることはできません。術後直後は鼻腔や周囲の組織が治癒途中であるため、その状態で検査を行うと感染のリスクが高くなります。
また鼻腔も変形しており、そもそも内視鏡が挿入できないというケースもあります。この場合は医師と相談し、他の検査方法を検討するか期間を空けてから検査を受けましょう。
胃カメラ検査ができない場合の代替方法は以下の通りです。
ここでは上記5つの代替方法についてそれぞれ解説します。
胃カメラ検査を受けられない場合は、状況に応じて経口・経鼻内視鏡を選択しましょう。
例えば嘔吐恐怖症や麻酔アレルギーなどにより経口内視鏡が難しい場合は、より苦痛の少ない経鼻内視鏡を選択することをおすすめします。
また鼻詰まりやアレルギー性鼻炎などがある場合は、経口内視鏡検査を検討するとよいでしょう。
このように経口・経鼻内視鏡のそれぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った方を選択することが大切です。
胃カメラ検査が受けられない場合は、バリウム検査を検討してみましょう。
バリウム検査とは、造影剤であるバリウムを飲み込んでレントゲン撮影を行うことで、内臓の状態を確認する検査方法です。胃カメラ検査と比べると検査精度はやや劣りますが、胃カメラの挿入がない分、楽に検査を受けられるメリットがあります。
胃カメラ検査を受けられない場合は、胃ABC検査を検討してみるとよいでしょう。
胃ABC検査は、胃の疾患にかかるリスク判定を行うための検査方法です。ピロリ菌の抗体検査と胃粘膜萎縮マーカーのペプシノゲン検査を組み合わせて行うもので、胃がんのリスクをABCの3群に分類します。
胃の疾患を引き起こす原因となるピロリ菌の有無や、胃粘膜の萎縮の程度を調べたい場合に有効です。
胃カメラ検査を受けられない場合は、腹部超音波検査を受けるとよいでしょう。
腹部超音波検査は、超音波を腹部に当て、胆嚢や肝臓、膵臓、腎臓などの消化管の観察が行える検査方法です。胃アニサキス症や胃潰瘍、急性胃粘膜病変、進行胃がんなどの発見に有効です。
また腹部にゼリーを塗って専用の機械を当てるだけで検査を行えるため、患者さんの負担が少ないメリットがあります。
尿素呼気試験は内臓の健康状態を確認するための検査方法ではなく、ピロリ菌の有無を調べるための検査方法です。
ピロリ菌は胃に住み着く細菌の一種で、慢性胃炎や胃潰瘍、胃がんなどを引き起こす大きな原因の一つです。ピロリ菌に感染している場合は、除菌治療を行うことで症状が改善される場合もあります。
胃の調子が悪い方や胃がんのリスクが懸念される方は、ピロリ菌検査を受けることをおすすめします。
胃カメラ検査を楽に受けるためのポイントは以下の通りです。
ここでは上記4つのポイントについてそれぞれ解説します。
胃カメラ検査を楽に受けたい場合は、鎮静剤を使用するのがおすすめです。
鎮静剤を使用するとウトウトとした状態で検査を受けられるため、検査中の痛みや不快感が軽減されるだけでなく、気持ち的にもリラックスした状態になります。
ただし妊娠中の方やアレルギーのある方は鎮静剤を使用できない可能性が高いため、該当する方は医師に相談しましょう。
胃カメラ検査を楽に受けるためには、リラックスすることが大切です。
体に力が入ると、喉元が締まり、さらに胃カメラの挿入がつらくなってしまうことがあります。そのため医師の指示に従って正しい姿勢を維持し、遠くを眺めてリラックスすることが大切です。
検査前に深呼吸をしたり挿入時のイメージをしておいたりすると、よりリラックスしやすくなります。
胃カメラ検査中は唾液を飲み込まないことと、ゲップを我慢することが大切です。
唾液を飲み込むと喉が挿入している胃カメラのチューブに当たり、痛みや不快感が生じるだけでなく、嘔吐反射を引き起こしやすくなります。
胃カメラ検査中は唾液は飲み込まず、口からそのまま垂れ流すようにしましょう。
胃カメラ検査には経口内視鏡検査と経鼻内視鏡検査の2種類ありますが、より楽に受けたい方は後者を選ぶことをおすすめします。
経口内視鏡検査では、舌の根元部分を胃カメラが通過するときに嘔吐反射が起こりやすいため、痛みや不快感を感じやすくなります。
一方で経鼻内視鏡検査ではそのような嘔吐反射は起こらないため、より楽に胃カメラを挿入することが可能です。
胃カメラができない人の特徴として、パニック障害・嘔吐恐怖症の人、妊娠中・授乳中の人、麻酔アレルギーのある人、抗血栓薬を服用中の人などが挙げられます。
そのほかにも特定の疾患がある人や血圧が高い人などは検査を受けられない可能性があるため、気になる症状がある場合は必ず医師に相談しましょう。
また経口内視鏡検査が受けられない場合は経鼻内視鏡検査を、経鼻内視鏡検査を受けられない場合は経口内視鏡検査を検討してみてください。
『大沼田メディカルクリニック』では、経鼻内視鏡による胃カメラ検査を実施しています。鎮静剤を使用してウトウトした状態で検査を受けることが可能なため、気になる方はぜひ当院までご相談ください。
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