コラム

胃潰瘍の食事メニューは?避けたほうがよい食品も解説

公開日:2025.09.30

胃潰瘍の食事メニューは?避けたほうがよい食品も解説

胃潰瘍の治療には薬物療法や手術療法、食事療法などがあります。食事は胃潰瘍の治療に重要な要素の一つでもあるため、治療中は特に気を配らなくてはいけません。

この記事では、胃潰瘍の食事療法のポイントについて解説します。胃潰瘍で食べてよい食品や避けたほうがよい食品、胃潰瘍の食事メニュー例などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

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胃潰瘍とは

胃潰瘍とは、胃の粘膜が傷つき、深い部分まで損傷が及ぶ病気です。

通常、胃は強い胃酸によって消化を行いますが、同時に粘液を分泌して自身を保護しています。しかし、このバランスが崩れると胃の粘膜が損傷し、炎症や潰瘍が発生してしまうのです。

胃潰瘍は急性胃潰瘍と慢性胃潰瘍の2種類あり、それぞれ以下のような違いがあります。

  • 急性胃潰瘍:浅い不整形の潰瘍やびらんが多発するのが特徴。強いストレスや薬物が原因で急激に発症することがある
  • 慢性胃潰瘍:潰瘍の数は少ないものの、傷が深く、治癒と再発を繰り返す

びらんは胃の粘膜表面が欠損した状態で、潰瘍はさらに深い筋層まで傷ついている状態を指します。

胃潰瘍の症状

胃潰瘍の主な症状は、みぞおち周辺の痛みです。特に食後や空腹時に痛みが増すことが多く、軽い食事をとると逆に痛みが和らぐこともあります。

そのほかの症状としては以下が挙げられます。

  • 吐き気
  • 胃もたれ
  • 食欲不振
  • 吐血
  • 血便など

中には自覚症状がほとんどないまま胃潰瘍が進行してしまうこともあり、ある日突然、胃からの出血により血便が出たり吐血したりする場合があります。

これらの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することをおすすめします。

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胃潰瘍の原因

胃潰瘍の主な原因として、ピロリ菌感染とステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の服用が挙げられます。

ピロリ菌は胃の粘膜に生息する細菌の一種で、炎症を引き起こして粘膜の防御機能を低下させることで、胃潰瘍を発症しやすくします。主に経口感染により乳幼児期に感染することが多いです。

ピロリ菌感染により慢性胃炎を発症して症状が進行すると、萎縮性胃炎や胃潰瘍を発生させることがあります。胃・十二指腸潰瘍の7~9割はピロリ菌感染が原因と考えられているため、現在ピロリ菌に感染している場合は特に注意が必要です。

また鎮痛剤や解熱剤として広く使用されるステロイド性抗炎症薬は、胃粘膜を保護するプロスタグラジン(PG)の産生を抑え、潰瘍が発生しやすい環境を作り出してしまいます。

さらにストレスや過度なアルコール摂取、喫煙、過剰な胃酸分泌も発症リスクを高める要因となるため、生活習慣が乱れがちな方は注意した方がよいでしょう。

胃潰瘍の食事療法のポイント

胃潰瘍の食事療法のポイントとして、以下の6つが挙げられます。

  • 消化の良い食品を選ぶ
  • 刺激の強い食品や胃酸分泌を促す食品は控える
  • 熱いものや冷たいものは控える
  • よく噛みゆっくり食べる
  • 規則正しい食生活を心がける
  • タバコやアルコールを控える

ここでは上記6つのポイントについて詳しく解説します。

消化の良い食品を選ぶ

胃潰瘍のある人は、胃の負担を軽減するために消化の良い食品を選ぶことが大切です。

具体的には、柔らかくて繊維の少ない食品が適しています。例えばおかゆやうどん、白身魚、豆腐、温野菜、卵料理などは消化しやすく、胃にやさしい食品です。

調理法も消化に影響するため、揚げ物や脂っこいものは避け、蒸す・煮る・茹でるなどの方法を選びましょう。

また一度に多くの食事を摂ると胃に負担がかかるため、1日3食にこだわらず、少量ずつ数回に分けて食べるのも効果的です。

刺激の強い食品や胃酸分泌を促す食品は控える

胃潰瘍の症状を悪化させないためには、刺激の強い食品を避けることが大切です。

香辛料の多い料理(唐辛子やカレー粉など)、アルコール、カフェインを含む飲料(コーヒー・紅茶・緑茶)、炭酸飲料、酸味の強い果物(柑橘類・梅干し)などは、胃酸の分泌を促したり胃を刺激したりするため控えましょう。

また脂っこい食べ物や加工食品、チョコレートなども胃酸の分泌を増やし、胃の粘膜に負担をかけるため、避けるのが望ましいです。

熱いものや冷たいものは控える

胃の粘膜は温度差に敏感なため、極端に熱いものや冷たいものは控えるようにしましょう。

例えば熱々のスープやコーヒー、氷を入れた冷たい飲み物などは、胃に刺激を与えやすく、症状を悪化させる可能性があります。適度な温度の食べ物や飲み物を摂ることで、胃への負担を軽減できます。

また冷たいものを急に食べたり飲んだりすると胃の働きが鈍くなり、消化不良を引き起こすこともあるため注意が必要です。

食べるものの温度に気を配ることで、胃潰瘍の症状を和らげることができます。

よく噛みゆっくり食べる

胃の負担を減らすためには、よく噛みゆっくり食べることが大切です。しっかり噛むことで食べ物が細かくなるため、消化がよりスムーズになります。

特に胃潰瘍のある人は、消化の良い食べ物を選ぶだけでなく、噛む回数を増やすことも意識しましょう。

また早食いをすると胃に一度に大量の食べ物が入り、胃酸の分泌が過剰になるため、症状を悪化させる原因になります。

食事の際は、一口ごとにしっかり噛み、時間をかけて食べる習慣をつけましょう。

規則正しい食生活を心がける

胃潰瘍の予防・改善のためには、規則正しい食生活を心がけることが大切です。

食事の間隔が空きすぎると、空腹時に胃酸が過剰に分泌され、胃の粘膜を傷つけるリスクが高まります。そのため、朝・昼・晩の食事をできるだけ同じ時間に摂取し、胃酸の分泌を安定させることが重要です。

また過食や夜遅い時間の食事も胃に負担をかけるため、なるべく避けるようにしましょう。

1回の食事量を控えめにし、間食を上手に取り入れることで、胃酸の分泌をコントロールしやすくなります。

タバコやアルコールを控える

タバコやアルコールは、胃潰瘍の悪化を招く大きな要因の一つです。

タバコに含まれるニコチンは胃の血流を悪化させ、粘膜の修復を妨げるため、潰瘍が治りにくくなります。また胃酸の分泌を促進し、胃の防御機能を低下させるため、症状を悪化させる可能性が高まります。

アルコールも同様に胃の粘膜を刺激し、炎症を引き起こすため、胃潰瘍のある人はできるだけ控えることが望ましいです。

タバコやお酒を控えることで、胃の回復を促すことができます。

胃潰瘍で食べてよい食品・避けた方がよい食品

胃潰瘍の改善や予防には、食事の内容が大きく影響します。胃に負担をかけない食品を選び、胃酸の分泌を抑えることが大切です。消化の良い食品や胃粘膜を保護する食品を積極的に取り入れ、胃を刺激する食品は控える必要があります。

ここでは食べてもよい食品と避けたほうがよい食品についてそれぞれまとめるので、ぜひ参考にしてみてください。

食べてもよい食品

胃潰瘍の人に適した食品は、消化が良く、胃に負担をかけにくいものです。

具体的には以下のようなものが挙げられます。

食べてもよい食品
穀類白米、おかゆ、うどんなど
いも・でんぷん類じゃがいも、山芋、里芋など
菓子類プリン、カステラ、ゼリー、ババロアなど
果物バナナ、りんご、缶詰など
魚介類白身魚、白はんぺんなど
肉類鶏肉、脂身の少ない赤身肉など
半熟卵、茶碗蒸しなど
豆類豆腐、高野豆腐、豆乳など
乳製品牛乳、チーズ、ヨーグルトなど
野菜ほうれん草、人参など
油脂サラダ油、バター、マヨネーズなど

主食としては、おかゆや柔らかく炊いた白米、うどんなどが適しています。これらは消化が良く、胃にやさしいため、負担を抑えられるでしょう。

タンパク質源としては、脂肪分の少ない魚(白身魚など)、鶏ささみ、豆腐、卵(半熟や茶碗蒸し)などがおすすめです。

またビタミンやミネラルを含む野菜や果物も大切ですが、繊維が多いものは避けるのが望ましいです。

じゃがいも、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草などの野菜は、よく煮たり蒸したりすることで消化が良くなり、胃に優しくなります。

避けたほうがよい食品

胃潰瘍の悪化を防ぐために、刺激の強い食品や胃酸の分泌を促す食品は控える必要があります。

具体的な食品は以下の通りです。

避けたほうがよい食品
香辛料からし、ワサビ、唐辛子、カレーなど
酸味の強いもの酢、梅干し、レモンなど
カフェインコーヒー、緑茶、紅茶、ココアなど
アルコールビール、日本酒、ワイン、焼酎など
穀類玄米、茸ごはん、ラーメンなど
いも・でんぷん類ポテトフライなど
菓子類ようかん、チョコレート、ケーキなど
果物アボカド、柿、ドライフルーツなど
魚介類たこ、イカ、ウナギ、サバ、塩辛、干物
肉類バラ肉、ベーコン、鶏皮など
生卵、固ゆで卵など
豆類厚揚げ、油揚げ、がんもどきなど
乳製品生クリームなど
野菜たけのこ、セロリ、ごぼう、海藻など
油脂フライ、天ぷら、ラードなど

上記のような食品はできるだけ控え、胃にやさしい食品に置き換えましょう。

胃潰瘍の食事メニュー例

胃潰瘍の朝食・昼食・夕食の食事メニュー例を紹介します。

どのような食事を取ればよいかわからないという方は、ぜひ参考にしてみてください。

朝食

朝食は胃が長時間空腹の状態から食事を摂るため、消化の良いものを選ぶことが大切です。

特に、胃の粘膜を保護する食品を取り入れると、胃潰瘍の回復をサポートできます。

メニュー例1パン、スクランブルエッグ、フルーツヨーグルト和え、牛乳
メニュー例2ごはん、味噌汁、納豆、キャベツのおかか和え、りんごのコンポート、牛乳
メニュー例3ごはん、味噌汁、白身魚の煮魚、グリンピースの薄くず煮、バナナ、牛乳

卵はタンパク質を補給しながら胃の粘膜修復を助けるため、スクランブルエッグや半熟卵にして取り入れてみましょう。

またバナナは消化が良く、胃の粘膜を守る働きがあるため、朝食に適しています。

牛乳やヨーグルトも胃の保護に役立ちますが、脂肪分が多いものは避け、低脂肪のものを選びましょう。

昼食

昼食は1日の中で活動量が増える時間帯のため、適度なエネルギーを摂取しつつ、胃にやさしいメニューを選ぶことが大切です。

メニュー例1ごはん、鶏肉のホイル焼き、かぼちゃ甘煮、おひたし、牛乳
メニュー例2ごはん、蒸し魚野菜あんかけ、青菜のしらす和え、じゃがいもの含め煮、牛乳
メニュー例3五目うどん、茶碗蒸し、ポテトサラダ、牛乳

うどんは消化が良く、胃に負担をかけにくいため、胃潰瘍の人に適した主食です。

白身魚は脂肪が少なく消化しやすいため、塩分を控えたやさしい味付けで煮付けにすると良いでしょう。

また温野菜は食物繊維が柔らかくなり、消化しやすくなるため、じゃがいもやにんじん、かぼちゃなどを取り入れるのがおすすめです。

夕食

夕食は特に胃にやさしい食事を意識することが重要です。

脂っこいものや刺激の強い食材を避け、消化の良いものを中心にしましょう。

メニュー例1ごはん、かれいの煮魚、里芋の田楽、すまし汁
メニュー例2ごはん、豆腐そぼろあんかけ、茶せんなす、かぼちゃサラダ、すまし汁
メニュー例3ごはん、ロールキャベツ、炒り豆腐、茹でかぶあんかけ

どのメニューも、白身魚・豆腐・かぼちゃ・かぶなど、胃に負担をかけにくい食材を使っているのがポイントです。

特に豆腐や白身魚は、タンパク質が豊富でありながら消化しやすいため、積極的に取り入れると良いでしょう。

また蒸し料理にすることで油を使わず、胃にやさしい調理ができます。

まとめ

胃潰瘍の食事のポイントとして、消化の良い食品を選ぶ、熱いものや冷たいものは控える、刺激の強い食品や胃酸分泌を促す食品は控えるなどが挙げられます。

今回紹介した食べてもよい食品・避けたほうがよい食品や食事メニューを参考に、胃にやさしい食事を意識してみてください。

また胃潰瘍は無症状のまま進行するケースもあるため、早期発見・治療のためには定期的に検査を受けることをおすすめします。

大沼田メディカルクリニック』では、病気を早期発見できる内視鏡検査を行っています。鎮静剤点滴による痛みや不快感の少ない検査が可能なため、検査を受けたことのない方や内視鏡検査に苦手意識のある方もぜひ当院までご相談ください。

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