コラム

胃カメラ検査は何歳から受けるべき?適切な頻度や発見できる病気について解説

公開日:2025.01.20

胃カメラ検査は何歳から受けるべき?適切な頻度や発見できる病気について解説

胃カメラ検査は胃や食道、十二指腸に病気がないか観察するための検査です。

胃カメラ検査自体に年齢制限はありませんが、何歳から受けるべきなのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、胃カメラを受けるべき年齢について詳しく解説します。

胃カメラ検査を受ける適切な頻度や検査の種類、発見できる病気などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

胃カメラ検査は何歳から受けるべき?

胃カメラ検査は何歳から受けるべき?

胃カメラ検査を受けるべき年齢については、胃の健康状態によって変わります。

現在胃痛や胃のムカムカ感など悩んでいる症状がある場合はすぐに胃カメラ検査を受けるべきです。

また症状がない場合でも、40歳以上は受けることをおすすめします。

ここでは症状別に胃カメラ検査を受けるべき年齢・タイミングについてそれぞれ解説します。

症状がある場合はすぐに受けるべき

症状がある場合はすぐに胃カメラ検査を受けるべきです

検査を受けるべき症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 吐き気や嘔吐
  • 胃の痛みや不快感
  • 胸やけ
  • 食欲低下
  • 体重減少

上記の症状は胃がんをはじめとしたさまざまな病気の可能性を示唆するもので、放置していると病気が進行し、症状が悪化する恐れがあります。

上記に限らず、気になる症状が出ている方はなるべく早めに医療機関を受診し、胃カメラ検査を受けましょう。

症状がない場合は40歳から受けるべき

特に気になる症状がない場合は、40歳になったら一度胃カメラ検査を受けましょう。

加齢とともにさまざまな病気の発症率が高まっていきますが、そのなかでも胃がんは40歳以降になると急激に発症率が高まることが明らかになっています。

また胃がんは世界中に多くの患者が存在する病気ですが、日本人はほかの国と比べて胃がんの罹患率や死亡率が高い傾向にあります。

初期段階の胃がんは、自覚症状がほとんどない点にも注意が必要です。

症状がないからといって検査を受けないままでいると、知らないうちに胃がんが進行してしまう可能性もあります。

胃がんは進行すると治療が困難になり、死亡率も高くなるため、早期段階での発見・治療が非常に重要です。

そのため、40歳を過ぎたら症状がなくても胃カメラ検査を受けましょう。

ピロリ菌が見つかった場合は定期的に受けるべき

ピロリ菌検査により陽性判定が出た場合は、定期的に胃カメラ検査を受けるようにしましょう。

ピロリ菌は胃の中に生息する細菌で、粘膜に慢性的な炎症を起こし、胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍を発症させる大きな原因となります。

ピロリ菌は除菌治療を行うことで胃がんや胃潰瘍の発症リスクを大きく下げられますが、それでも発症リスクを0にできるわけではありません。

そのため一度でもピロリ菌にかかったことのある場合は、定期的に胃カメラ検査を受け、胃がんの早期発見・治療に努めることが大切です。

胃カメラ検査を受ける適切な頻度

胃カメラ検査を受ける適切な頻度

胃カメラ検査を受ける適切な頻度は個人差がありますが、目安としては以下の通りです。

  • 特に症状がない場合:1~2年に1回
  • ピロリ菌の感染歴がある場合:1年に1回
  • 胃がんの治療を受けた場合:1年に1回

ここでは上記3つについてそれぞれ解説します。

特に症状がない場合は1~2年に1回

特に症状がない場合は、1~2年に1回の頻度で胃カメラ検査を受けるとよいでしょう。

とはいえ胃の健康状態には個人差があるため、2回目以降の胃カメラ検査のタイミングは医師と相談して決めることをおすすめします。

ピロリ菌の感染歴がある場合は年に1回

ピロリ菌の感染歴がある場合は1年に1回の頻度で胃カメラ検査を受けましょう。

もしピロリ菌の除菌をまだ行っていない場合は、先に除菌治療を行う必要があります。

薬剤のアレルギーで除菌治療を行えない方や除菌治療を失敗してしまった方は、胃カメラ検査を頻繁に行うことで胃がんの早期発見・治療に努めることが大切です。

また除菌治療が成功している方も、胃がんや胃潰瘍の発生リスクがあるため、定期的に胃カメラ検査を受けることをおすすめします。

胃がん治療後は年に1回受けるべき

胃がんの治療を受けた場合は、1年に1回の頻度で胃カメラ検査を受けることが推奨されます。

粘膜内にとどまっている早期胃がんの場合、内視鏡切除による根治的治療が可能です。

しかし胃がんは肝臓や腹膜、リンパ節といった部位に再発することがあるため、定期的な胃カメラ検査は欠かせません。

また胃カメラでは胃がんの再発がないか確認できるだけでなく、手術による縫合部分の状態も確認できます。

基本的に1年に1回の頻度が推奨される場合が多いですが、病気の状態や担当医師の方針によって変わってくるため、医師と相談してみましょう。

胃カメラ検査の種類

胃カメラ検査の種類

胃カメラ検査には口から内視鏡を挿入する『経口内視鏡検査』と鼻から内視鏡を挿入する『経鼻内視鏡検査』の2種類があります。

この2種類の違いを簡単にまとめると以下の通りです。

 経口内視鏡検査経鼻内視鏡検査
検査方法口から内視鏡を挿入する鼻から内視鏡を挿入する
メリット
  • 画像が鮮明で検査精度が高い
  • 病変の拡大観察が可能
  • 検査時間が短い
  • 嘔吐反射がない
  • 医師とコミュニケーションをとれる
  • 痛みや不快感が少ない
デメリット
  • 嘔吐反射がある
  • 検査中の痛みや不快感が生じやすい
  • 医師と会話ができない
  • 経口内視鏡検査と比べて画質がやや劣る場合がある
  • 検査時間が長くなりやすい
  • 鼻の形によっては検査ができない場合がある

さらに鎮静剤を使用した内視鏡検査もあり、検査中の苦痛を減らすことが可能です。

ここでは上記3つの検査の種類についてそれぞれ解説します。

経口内視鏡検査

経口内視鏡検査は、口から内視鏡を挿入する検査方法です。

挿入するチューブの太さは直径8~9mm程度で、経鼻内視鏡検査と比べると太いものになります。

主なメリット・デメリットをまとめると以下の通りです。

メリットデメリット
  • 画像が鮮明で検査精度が高い
  • 病変の拡大観察が可能
  • 検査時間が短い
  • 嘔吐反射がある
  • 検査中の痛みや不快感が生じやすい
  • 医師と会話ができない

経口内視鏡検査は口から内視鏡を挿入するため、チューブがのどを通過するときに嘔吐反射が起こることがあります。

またのどに痛みや違和感が生じやすい点もデメリットといえるでしょう。

ただし挿入するチューブが太い分高性能で、鮮明な画像を撮影できるため検査精度が高い特徴があります。

なかには病変の拡大観察が行える高性能スコープもあり、小さな病変もしっかり診断可能です。

検査精度や検査時間の短さで比べるなら、経鼻内視鏡検査よりも経口内視鏡検査の方が優れています。

経鼻内視鏡検査

経鼻内視鏡検査は、鼻から内視鏡を挿入する検査方法です。

挿入するチューブの太さは直径5~6mm程度で、経口内視鏡検査で使用するもののおよそ半分程度の細さになります。

主なメリット・デメリットは以下の通りです。

メリットデメリット
  • 嘔吐反射がない
  • 医師とコミュニケーションをとれる
  • 痛みや不快感が少ない
  • 経口内視鏡検査と比べて画質がやや劣る場合がある
  • 検査時間が長くなりやすい
  • 鼻の形によっては検査ができない場合がある

使用する内視鏡が経口内視鏡検査よりも細くなるため、その分画質がやや劣るデメリットがあります。

ただ最近は経鼻内視鏡検査に使用される内視鏡の品質も高くなってきているため、経口内視鏡検査と遜色のない検査精度が期待できるでしょう。

また経鼻内視鏡検査の大きなメリットは、内視鏡を挿入する際の嘔吐反射がないという点です。

さらに内視鏡挿入中の痛みや不快感も少なく、医師とコミュニケーションを取りながら検査を受けられます。

検査中に疑問点や気になることがあった場合、その場で医師に質問できるのは経鼻内視鏡検査の大きなメリットといえるでしょう。

鎮静剤を使用する内視鏡検査

内視鏡検査では鎮静剤を使用することも可能です。

鎮静剤を使用することにより、内視鏡挿入時に感じる嘔吐反射や痛み、不快感などを抑えられます。

また鎮静剤を使用するとウトウトと眠っているような状態になるため、検査に対する不安感や恐怖心が強い方も気楽に検査を受けることが可能です。

胃カメラ検査の懸念点の一つである痛みや不快感を解消できるため、不安な方はぜひ鎮静剤を使用した内視鏡検査を検討してみてください。

胃カメラ検査で発見できる病気

胃カメラ検査で発見できる病気

胃カメラ検査で発見できる病気には以下のようなものが挙げられます。

検査部位胃カメラでわかる病気
胃がん、胃腺腫、急性胃炎、慢性胃炎、萎縮性胃炎、胃ポリープ、胃潰瘍、胃静脈瘤、ピロリ菌感染
食道食道がん、逆流性食道炎、食道乳頭腫、食道粘膜下腫瘍、食道静脈瘤、食道異物
咽頭咽頭乳頭腫、咽頭異物、咽頭がん、声帯ポリープ
十二指腸十二指腸がん、十二指腸腺腫、十二指腸潰瘍

ここでは胃・食道・咽頭・十二指腸で発見できる病気についてそれぞれ解説します。

胃の病気

胃カメラ検査で発見できる胃の病気には以下のようなものが挙げられます。

胃がん胃の粘膜にがん細胞が発生する病気。初期症状がほとんどなく、進行するとほかの臓器に転移する場合があるため早期発見・治療が重要になる。
胃腺腫胃の粘膜の一部がイボのように隆起した良性腫瘍。良性のため経過観察で済む場合が多いが、まれにがん化することがあるため注意が必要。
胃潰瘍胃の粘膜が胃酸によって荒れ、粘膜下にある筋層までダメージが及んでいる状態。激しい腹痛や吐血などの症状が現れることがある。
萎縮性胃炎長期間慢性的に胃に炎症が起こり、胃の粘膜が萎縮した状態。主な原因はピロリ菌の感染で、症状が進行すると粘膜下の血管が透けて見える。

上記のなかでも特に注意が必要なのが、萎縮性胃炎と胃腺腫です。

これらは胃がんの発症リスクがあるため、早期発見・治療が重要になります。

食道の病気

胃カメラ検査で発見できる食道の病気には以下のようなものがあります。

食道がん食道の粘膜にがん細胞が発生する病気。胃がんと同様、初期症状がほとんどないため、胃カメラ検査での早期発見・治療が重要となる。
逆流性食道炎胃の内容物や胃酸が食道に逆流することで、食道に炎症が起こる病気。主な症状として胸やけや食後のみぞおちの痛み、酸っぱいものが上がってくる感覚などがある。
食道静脈瘤食道粘膜にコブのようなふくらみができる病気。肝硬変などの肝臓の病気が原因となっていることが多く、進行すると血管が破れて出血する恐れがある。

食道がんは早期段階では自覚症状がほとんどないため、定期的な胃カメラ検査により早期発見することが重要です。

咽頭の病気

胃カメラ検査で発見できる咽頭の病気は以下の通りです。

咽頭がん咽頭の粘膜にがん細胞ができる病気。初期には喉の違和感や痛みなど、軽い症状が出ることがある。頸部リンパ節に転移すると、首にしこりがあらわれる。
声帯ポリープ声帯にポリープができる病気。ポリープの影響で発声しにくくなり、サイズが大きくなると呼吸困難を起こす場合もある。
咽頭異物のどの奥に魚の骨や薬のシートなどが詰まってしまった状態。内視鏡検査で異物を取り除くことが可能。

胃カメラでは胃や食道だけでなく、上記のようなのどの奥に生じる異常も確認できます。

十二指腸の病気

胃カメラ検査で発見できる十二指腸の病気には以下のようなものが挙げられます。

十二指腸がん十二指腸の粘膜表面にがん細胞ができる病気。粘膜は平坦または凹んだ状態で、白色調に変化することが多い。
十二指腸腺腫十二指腸の粘膜に良性の腫瘍ができる病気。基本的に経過観察で済む場合が多いが、まれにがん化することがあるため注意が必要。
十二指腸潰瘍胃酸によって十二指腸の粘膜が荒れ、筋層までダメージが及んでいる状態。胃に近い部分にみられることが多い。

十二指腸の病気で特に注意が必要なのは、十二指腸がんや十二指腸潰瘍です。

十二指腸腺腫は基本的に経過観察となる場合が多くなりますが、まれにがん化することがあるため、定期的に胃カメラ検査を受ける必要があります。

まとめ

胃カメラ検査は何歳から受けても問題ありませんが、特に症状が出ていない場合は40歳を過ぎたら一度検査を受けるべきでしょう。

罹患率や死亡率が高い胃がんは、40歳を超えると発症率が急激に増加します。

また初期段階では自覚症状がほとんどないため、胃カメラ検査を受けずにいると知らず知らずのうちに症状が進行し、ほかの部位に転移してしまう恐れもあります。

大沼田メディカルクリニックでは、嘔吐反射や苦痛を抑えた経鼻内視鏡検査による胃カメラ検査を行っています。

鎮静剤の使用によりウトウトと眠ったような状態で楽に検査が受けられるため、胃カメラ検査を受けようか悩んでいる方はぜひ当院まで気軽にご相談ください。

ご予約・お問い合わせ

常に新しい診療をご提供しつつ、患者さまの生活の質(Quality of Life)を損なわない治療を目指しています。

8:30〜12:30 / 15:30〜19:00
休診日 木曜午後、土曜午後、日曜、祝日