コラム

胃カメラ検査とバリウム検査の違いは?それぞれのメリット・デメリットを解説

公開日:2025.01.20

胃カメラ検査とバリウム検査の違いは?それぞれのメリット・デメリットを解説

胃に病気がないか診断する検査方法には、胃カメラ検査とバリウム検査の2種類があります。

「胃カメラ検査とバリウム検査どちらを選べばいいの?」「胃カメラ検査とバリウム検査どっちの方が楽?」といったお悩みを抱える方も少なくないでしょう。

この記事では、胃カメラ検査とバリウム検査の違いについて解説します。

それぞれのメリット・デメリットや注意点をまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

胃カメラとバリウム検査どちらを受けるべき?

胃カメラとバリウム検査どちらを受けるべき?

胃カメラ検査とバリウム検査どちらを選ぶべきか、結論から言うと胃カメラ検査を受けるのがおすすめです。

それぞれの特徴を簡単にまとめると以下のとおりです。

胃カメラ検査バリウム検査
検査方法鼻または口から胃カメラを挿入して消化器官を観察する検査方法X線を通しにくい性質を持ったバリウムと胃の中を膨らませる発泡剤の2種類の液体を飲み、レントゲン撮影によって消化器官を観察する検査方法
メリット
  • 小さな異常を見つけやすい
  • 病理検査による詳細な診断が可能
  • 食道がんを発見しやすい
  • 医師とコミュニケーションを取りながら検査を受けられる
  • 咽頭反射による不快感がない
  • バスによる巡回検診が可能
  • 検査費用が比較的安い
デメリット
  • カメラを挿入する際に不快感が生じる場合がある
  • カメラ挿入による粘膜損傷や出血のリスクがある
  • 検査で得られる情報量が限られる
  • 少量の放射線被ばくがある
  • 異常が見つかった場合は胃カメラ検査が必要

どちらも食道・胃・十二指腸内を観察する検査方法ですが、検査精度や検査時の苦痛に大きな違いがあります。

胃カメラ検査ではカメラを挿入する際に「オエッ」となってしまう『咽頭反射』が起こりやすく、これが「胃カメラ検査は苦しい」と言われる一つの理由となっています。

バリウム検査は液体を飲んで指示に従って検査台の上で体勢を変えるだけでよいため、胃カメラ検査と比べて苦痛は少ないです。

しかし検査精度で比べてみると、バリウム検査はレントゲン撮影した2D写真での情報しか得られないため、胃カメラ検査よりは得られる情報量が限られてしまいます。

さらにバリウム検査で異常が見つかった場合、胃カメラ検査での精密検査が必要となります。

異常があったらバリウム検査と胃カメラ検査の計2回検査を受けることになるため、結果として時間や費用の負担が増えることになるのです。

上記のような理由から、どちらかを選ぶなら胃カメラ検査を受けた方がいいでしょう。

胃カメラ検査で懸念される胃カメラ挿入時の苦痛については、鼻から内視鏡を挿入する『経鼻内視鏡検査』や鎮静剤の使用により解決できるため、悩んでいる方はぜひ前向きに検討してみてください。

胃カメラとは

胃カメラとは

胃カメラは先端に小型カメラのついたチューブを鼻または口から挿入し、食道・胃・十二指腸を観察する検査方法です。

鼻から挿入する方法を『経鼻内視鏡検査』、口から挿入する方法を『経口内視鏡検査』と呼びます。

ここでは胃カメラ検査で分かることや胃カメラのメリット・デメリット、注意点について解説します。

胃カメラでわかること

胃カメラ検査では以下のような病気を発見できます。

検査部位発見できる病気
食道・咽頭食道がん、逆流性食道炎、食道・咽頭乳頭腫、食道粘膜下腫瘍、食道静脈瘤、食道遺物・咽頭異物、咽頭腫瘍
胃がん、胃腺腫、急性胃炎、慢性胃炎、胃ポリープ、胃潰瘍、胃静脈瘤、ピロリ菌感染
十二指腸十二指腸がん、十二指腸腺腫、十二指腸潰瘍、IgA血管炎(ヘノッホ・シェーライン紫斑病)

胃カメラでわかる病気の中には、食道がんや胃がん、十二指腸がんなど、初期段階では自覚症状がほとんど現れない病気もあります。

また臓器をカメラで直接観察できるため、微細な病変を見つけやすいのも大きな特徴です。

胃カメラのメリット

胃カメラには以下のようなメリットがあります。

  • 小さな異常を見つけやすい
  • 病理検査による詳細な診断が可能
  • 食道がんを発見しやすい
  • 医師とコミュニケーションを取りながら検査を受けられる

ここでは上記4つのメリットについてそれぞれ解説します。

小さな異常を見つけやすい

胃カメラは小さな異常を見つけやすいメリットがあります。

食道・胃・十二指腸に生じる色の変化やわずかな隆起、凹みなどをはじめとした小さな病変を見つけることが可能です。

さらにバリウム検査では発見が難しい平坦な病変も、胃カメラなら見つけやすいです。

鮮明な画像で確認できる分、バリウム検査よりも診断精度の高い検査方法といえます。

病理検査による詳細な診断が可能

胃カメラは病理検査による詳細な診断が行えます。

検査で消化管内に腫瘍が見つかった場合、それが良性腫瘍か悪性腫瘍か診断しなくてはいけません。

見た目で判断できないものは、その場で組織採取を行って顕微鏡で詳細に調べる『病理検査』を行います。

検査と同時に組織検査やポリープ切除などを行えるのが、胃カメラの大きなメリットです。

食道がんを発見しやすい

胃カメラは食道がんを発見しやすいメリットがあります。

食道がんは早期段階では表面の凹凸がほとんどなく、粘膜の色にしか変化が表れていないケースも少なくありません。

バリウム検査では見つけるのが難しいこの変化も、鮮明な画像で確認できる胃カメラならしっかりと発見できます。

医師とコミュニケーションを取りながら検査を受けられる

胃カメラの中でも鼻から胃カメラを挿入する経鼻内視鏡検査なら、医師とコミュニケーションを取りながら検査を受けられます。

検査中に気になることがあれば、医師に質問してその場で疑問を解消することが可能です。

また医師といつでもコミュニケーションを取れる点は安心感にもつながるでしょう。

胃カメラのデメリット

胃カメラのデメリットは以下の2つです。

  • カメラを挿入するときの不快感
  • カメラ挿入による粘膜損傷や出血のリスク

ここでは上記2つのデメリットについてそれぞれ解説します。

カメラを挿入する際の不快感

胃カメラのデメリットの一つとして、カメラを挿入する際の不快感が挙げられます。

特に口から胃カメラを挿入する経口内視鏡検査では、舌の奥にカメラが触れると咽頭反射が起こります。

この咽頭反射がつらいという方が多く、胃カメラのデメリットの一つといえるでしょう。

さらに胃の内部を観察する際に胃を膨らませたり伸ばしたりする際にも、お腹の張りや不快感を感じることがあります。

しかしこの痛みや不快感は、経鼻内視鏡検査および鎮静剤で解決できるものです。

挿入時の苦痛が理由で胃カメラをためらっている方も、まずは医師に相談してみてください。

カメラ挿入による粘膜損傷や出血のリスク

胃カメラにはカメラ挿入による粘膜損傷や出血のリスクがあります。

このリスクは0.005%程度と非常に低い割合で発生するもので、過度に心配する必要はありません。

経験豊富な医師による胃カメラ検査であれば、このようなリスクを最小限に抑えることができるでしょう。

胃カメラの注意点

胃カメラには以下のような注意点があります。

  • 検査前日は消化しやすい食事メニューにする
  • 検査前日は21時までに夕食を済ませる
  • 検査当日は朝食を食べずに来院する
  • 薬は医師の指示に従って服用・休薬する

またそのほか、以下に当てはまる場合は胃カメラができない場合があります。

  • 薬物アレルギーがある方
  • 重度の心臓病や肺の持病を持っている方
  • 高齢者の方
  • 妊娠中・授乳中の方
  • 高血圧の方
  • 鼻が詰まっている・鼻腔が狭い方(経鼻内視鏡検査)

上記に当てはまる場合は医師に相談しましょう。

バリウム検査とは

バリウム検査とは

バリウム検査はX線を通しにくい性質を持ったバリウムと胃の中を膨らませる発泡剤の2種類の液体を飲み、レントゲン撮影によって消化器官を観察する検査方法です。

ここではバリウム検査で分かることやバリウム検査のメリット・デメリット、注意点について解説します。

バリウム検査でわかること

バリウム検査は胃の粘膜にできたポリープや隆起、陥凹などの病変を捉えられ、胃カメラと同様に食道・胃・十二指腸の病気を発見できます。

胃カメラと異なる点は、粘膜の変色などの微細な異常は見落としてしまう可能性が高いという点です。

特に早期の食道がんは粘膜の変色のみが病変としてあらわれている場合が多く、バリウム検査では見落としやすくなります。

バリウム検査のメリット

バリウム検査には以下のようなメリットがあります。

  • 咽頭反射による不快感がない
  • バスによる巡回検診が可能
  • 検査費用が比較的安い

ここでは上記3つのメリットについてそれぞれ解説します。

咽頭反射による不快感がない

バリウム検査のメリットの一つは、咽頭反射による不快感がないことです。

胃カメラはカメラを挿入する際に咽頭反射が起こるため、検査の際に苦痛を感じる場合があります。

一方、バリウム検査は液体を飲むだけでよいため、胃カメラ検査のような咽頭反射が起こる心配がありません。

バスによる巡回検診が可能

バリウム検査は、バスによる巡回検診が可能なメリットがあります。

巡回検診とは、検査に必要な機材がすべて乗せられた特殊なバスの中で検査が受けられるものです。

病院まで足を運ぶことなく検査が受けられるため、気軽に検査を受けたい方にとっては大きなメリットといえるでしょう。

検査費用が比較的安い

バリウム検査は胃カメラと比べて、検査費用が安いメリットがあります。

具体的な費用相場は胃カメラは15,000~20,000円程度、バリウム検査は10,000~15,000円程度となっており、胃カメラよりも5,000円~10,000円程度安く検査を受けられます。

バリウム検査のデメリット

バリウム検査のデメリットは以下の3つが挙げられます。

  • 検査で得られる情報量が限られる
  • 少量の放射線被ばくがある
  • 異常が見つかった場合は胃カメラ検査が必要

ここでは上記3つのデメリットについてそれぞれ解説します。

検査で得られる情報量が限られる

バリウム検査のデメリットは、検査で得られる情報量が限られることです。

レントゲン撮影による2D情報での観察となるため、平坦な病変は見落としてしまう可能性が高くなります。

また検査精度にもムラが出やすく、胃カメラよりも劣ってしまいます。

少量の放射線被ばくがある

バリウム検査はレントゲン撮影時に放射能を使用するため、少量の放射線被ばくがあります。

一度に受ける放射線量は15~25ミリシーベルト程度で健康に悪影響を及ぼすレベルではありませんが、胸部X線写真と比較すると150〜350倍の被ばく量になります。

放射線被ばくが心配な場合は胃カメラ検査を検討してみるとよいでしょう。

異常が見つかった場合は胃カメラ検査が必要

バリウム検査で異常が見つかった場合、胃カメラ検査が必要になります。

バリウム検査ではその場で組織採取やポリープ切除などが行えないため、後日改めて胃カメラ検査を受けなくてはいけません。

結局来院の手間や費用の負担が増えることになるため、一度の検査で終えたいなら胃カメラ検査を選ぶことをおすすめします。

バリウム検査の注意点

バリウム検査の注意点として腸閉塞のリスクが挙げられます。

バリウム検査後はバリウムを体外に排出するために強い下剤を飲みますが、まれにバリウムが原因で腸閉塞が起こることがあるのです。

腸閉塞は穿孔や腹膜炎などの症状を併発することもあるため注意が必要です。

また以下に当てはまる場合はバリウム検査が受けられない可能性があります。

  • バリウム製剤にアレルギーがある方
  • 透析中の方
  • 腸閉塞や腸ねん転の疑いがある方
  • 妊娠中または妊娠の可能性がある方
  • 消化管穿孔がある方
  • 消化管急性出血で治療中の方
  • 自力で体勢を変えられない方
  • 普段からむせやすい方

上記に当てはまる方は医師に相談し、胃カメラも検討してみましょう。

まとめ

胃カメラとバリウム検査どちらを受けるべきか悩んでいる方は、胃カメラを選ぶことをおすすめします。

胃カメラはバリウム検査よりも検査精度が高く、病理検査による詳細な診断ができるメリットがあります。

バリウム検査で病変が確認できた場合は結局後日胃カメラを受ける必要が出てくるため、検査の手間を減らすためにも最初から胃カメラを選んだほうが良いでしょう。

大沼田メディカルクリニックでは、痛みの少ない経鼻内視鏡による胃カメラ検査を行っています。

鎮静剤を使用し胃カメラ特有の苦痛を抑えて楽に検査を受けられるため、カメラ挿入時の不快感が不安な方もぜひ当院まで気軽にご相談ください。

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