目次
胃カメラ検査を受けると、食道・咽頭、胃、十二指腸に病気が隠れていないか確認できます。
具体的にどのような病気がわかるのか知らないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、胃カメラでわかる病気について詳しく解説します。
それぞれの病気の特徴や胃カメラを受けるおすすめのタイミングなどをまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
胃カメラでわかる食道・咽頭の病気には以下のようなものがあります。
ここでは上記7つの病気についてそれぞれ解説します。
食道がんは初期段階にはほとんど自覚症状が現れない病気で、進行すると以下のような症状が現れます。
60代、70代以降の男性や長期間飲酒や喫煙をしている方に多く見られます。
食道には胃や大腸にある漿膜(しょうまく)という膜がないため、リンパ節やほかの臓器にがんが転移しやすい特徴があります。
症状のない早期段階で食道がんを発見するためには、定期的に胃カメラ検査を受けることが大切です。
逆流性食道炎は、胃酸が逆流して食道に流れ込んでくることで炎症が起こる病気です。
健康な人でも胃酸が逆流することはありますが、短時間であれば炎症に至ることはありません。
しかし食道と胃のつなぎ目にある下部食道括約筋という筋肉が加齢や胃内圧・腹圧の上昇などにより弛むと、胃酸が逆流する時間が長くなり、逆流性食道炎を引き起こすことがあります。
逆流性食道炎の主な症状は以下の通りです。
炎症が長引くと食道腺癌を引き起こす恐れがあるため、早期発見・早期治療が重要になります。
食道・咽頭乳頭腫は、食道・咽頭に白い小さな隆起ができる良性腫瘍の病気です。
小さな病変が多く、基本的には無症状で治療が必要ないため、経過観察を行うケースがほとんどとなります。
食道粘膜下腫瘍は、食道の粘膜よりも深い層に腫瘍が発生する病気です。
良性腫瘍の平滑筋腫や血管腫であることが多く、悪性腫瘍であるケースは少ないです。
ただし腫瘍が大きい場合や短期間で腫瘍が大きくなる場合、悪性リンパ腫や悪性腫瘍が疑われます。
腫瘍の位置や大きさにより異なりますが、以下のような症状が現れる場合があります。
胃カメラ検査で腫瘍が見つかった場合には、表面の凹凸や色調を詳しく観察し、可能であれば組織採取を行って正確な診断を下す必要があります。
食道静脈瘤は、食道粘膜下にある静脈の壁が膨れ、静脈瘤ができる病気です。
肝硬変によって肝臓へ流れにくくなった血液が食道に流れ込むことによって起こります。
長期間肝臓の炎症を起こしている方に多く見られ、原因となっている肝臓の病気が進行すると血管が破れてしまうこともあります。
食道静脈瘤自体には症状はありませんが、原因となる肝硬変の主な症状は以下の通りです。
症状の進行により血管が破裂してしまうと命にもかかわるため、早期発見・治療が重要となります。
食道異物・咽頭異物は、食道・咽頭に異物が詰まってしまっている状態です。
異物として検査で発見されるものとして、魚の骨や薬のシート、ボタン電池などが挙げられます。
特に薬のシートなどの角の尖っているものを取り除かずにそのまま放置していると、食道や腸に穴を開けてしまう危険性もあります。
異物を飲み込んでしまったら、すぐに医療機関を受診して取り除いてもらいましょう。
咽頭腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍があり、悪性腫瘍は咽頭がんと呼ばれます。
咽頭腫瘍の症状は腫瘍ができる場所によって異なりますが、以下のような症状が現れることがあります。
治療方法については、良性腫瘍は腫瘍を切除し治療完了となるものや、経過観察のみで問題ないものもあります。
悪性腫瘍の場合は腫瘍の場所や大きさ、性質などを精密検査で調べる必要があり、手術や抗がん剤治療、放射線治療など患者さんの状態に合わせた治療方法を選択しなくてはいけません。
胃カメラでわかる胃の病気には以下のようなものがあります。
ここでは上記8つの病気についてそれぞれ解説します。
胃がんは早期胃がん、進行胃がん、スキルス胃がんの3種類に分けられます。
早期胃がんはほとんど自覚症状がありませんが、この段階で見つかれば胃内視鏡手術(胃カメラを使った手術)で治療できることもあります。
進行胃がんは胃壁の筋層より深くまでがんが進行した状態で、開腹による外科的手術や化学療法による治療が必要です。
スキルス胃がんはがん細胞がバラバラになって胃の粘膜下に広がっている病気で、通常の胃がんと比べて進行が早いため注意が必要です。
無症状のケースも多いため、早期発見・治療を実現するためにも定期的に胃カメラ検査を受けましょう。
胃腺腫は、胃の粘膜に発生する良性腫瘍です。
基本的には無症状のため、健康診断や人間ドックなどで偶然見つかるケースが多いです。
胃カメラで行う生体検査にはGroup 1〜5があり、Group 1は『正常』、Group 5は『がん』を意味しますが、胃腺腫はGroup 3に分類されます。
すぐに胃がんとなる可能性は低いものの、時間の経過によってがん化する恐れがあるため、定期的に経過観察を行う必要があります。
腺腫の大きさや形態によってがん化のリスクが異なりますが、リスクが高い場合は胃カメラによる切除を行うケースが多いです。
急性胃炎は、さまざまな原因によって胃の粘膜に炎症を起こす病気です。
主な原因としてはアルコールの摂取や薬の服用、化学的毒物、放射線、寄生虫、細菌、食中毒、ピロリ菌の感染、ストレスなどが挙げられます。
ほかにも感染症や急性化膿性胃炎、アレルギー性胃炎などが原因となる場合もあります。
みぞおち辺りの痛みや胃部の膨満感、胃のむかつき、嘔吐、吐血、下血などが主な症状です。
症状が現れてすぐに検査・治療ができれば、症状は短期間で治まります。
慢性胃炎は、慢性的に胃が委縮し、胃酸の分泌が続いている状態になっている病気です。
慢性的な胃の不調や胃粘膜の発赤、ただれなどが起こり、胃がんや十二指腸潰瘍につながる恐れもあります。
胃潰瘍や胃がんで見られるような、以下の症状が現れることが多いです。
胃炎が改善され、消化器潰瘍や胃がんなども見られず上記のような消化器症状のみが残ると、「機能性ディスペプシア」と呼ばれる別の病気として扱われます。
胃ポリープは胃底腺ポリープ、過形成性ポリープ、腫瘍性ポリープの3種類に分けられます。
胃底腺ポリープは良性のポリープで健康的な胃にできることが多く、悪性化するリスクが低いため、治療を行わず経過観察で済むケースが多いです。
過形成性ポリープはピロリ菌が関係していることが多く、ピロリ菌除菌によって消失する場合もあります。
サイズによっては、胃カメラによる切除を行うケースもあります。
腫瘍性ポリープは3種類の中でも特に注意が必要なもので、発見したらすぐに切除しなくてはいけません。
胃カメラ検査でポリープが見つかった場合は、組織採取により精密検査を行って診断します。
胃潰瘍は胃の粘膜下にある筋層まで傷ついた状態で、ピロリ菌による感染やアルコールの過剰摂取、薬の服用、慢性的なストレスなどにより起こります。
胃潰瘍の主な症状は以下の通りです。
放置すると胃に穴が開いたり多量の出血が起こったりするリスクがあるため、早期治療が重要です。
胃静脈瘤は食道静脈瘤と同様に、肝硬変によって肝臓へ流れにくくなった血液が胃に流れ込むことによって起こる病気です。
症状が悪化すると瘤が破裂して吐血や下血などが起こり、命にもかかわります。
胃静脈瘤が見つかった場合、定期的な肝臓チェックと胃カメラ検査を受ける必要があります。
ピロリ菌に感染すると、胃潰瘍や十二指腸腫瘍、胃がんなどの発症リスクが高まることが明らかになっています。
ピロリ菌感染有無は胃カメラ検査で調べることができ、陽性判定が出た場合はなるべく早めに除菌治療を行うことが推奨されます。
胃カメラでわかる十二指腸の病気は以下の通りです。
ここでは上記4つの病気についてそれぞれ解説します。
十二指腸がんは十二指腸に発生する悪性腫瘍で、ほかの臓器と比べて頻度は低くなるものの、胃や大腸と比べて粘膜が薄いために手術の難易度が高い特徴があります。
早期がんの場合は胃カメラによる治療が可能なケースもありますが、開腹手術が必要なケースが多いです。
ほかのがんと同様、初期段階にはほとんど自覚症状がありませんが、進行すると腹痛や吐き気、嘔吐、体重減少などの症状が現れる場合があります。
十二指腸腺腫には良性腫瘍と悪性腫瘍があり、腺腫や早期がんの場合は胃カメラでの切除が可能です。
腺腫が広範囲に及ぶ場合や進行がんと診断された場合、手術による治療が必要となります。
十二指腸腺腫は胃カメラで発見される頻度が0.02〜0.04%とされており、極めてまれな病気です。
十二指腸潰瘍は十二指腸の粘膜が潰瘍化したもので、主な原因としてピロリ菌感染が挙げられます。
十二指腸潰瘍の主な症状は以下の通りです。
治療方法としては、食事療法や生活指導、薬物療法、再発予防治療などが挙げられます。
ピロリ菌に感染している場合は、除菌治療を行うことにより再発率を大きく下げることが可能です。
IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)は十二指腸に多発潰瘍がみられるのと同時に、皮膚の紫斑や関節炎、腹痛、腎炎などの症状が現れる病気です。
10歳以下の小児に発症することが多く、成人で発生するケースはまれとなります。
自然治癒することが多いため、定期診察や尿検査を行いながら、対処療法により症状を緩和します。
胃カメラ検査をいつ受けるべきなのか、悩んでいる方も多いでしょう。
ここでは胃カメラ検査を受けるおすすめのタイミングについて解説します。
腹痛や胃のむかつき、吐き気・嘔吐など、症状がある場合はすぐに胃カメラ検査を受けましょう。
小さな症状であっても、がんなどの大きな病気が隠れていることもあり、放置していると症状が悪化し根治が難しくなる恐れがあります。
中には手術による治療が必要な病気もありますが、早期発見できれば胃カメラで治療が可能な場合もあるため、なるべく早めに検査を受けることが大切です。
また症状がない場合でも、バリウム検査で異常を指摘された方やピロリ菌検査で陽性判定が出た方もすぐに検査を受けたほうがいいでしょう。
特に症状がない場合でも、40歳を超えたら定期的に検査を受けましょう。
40歳を超えるとがんの発症リスクが高まるとされています。
胃がんや食道がんは初期段階での自覚症状がほとんどなく、症状が現れた頃にはすでにがんが進行してしまっているケースも少なくありません。
がんは早期発見・早期治療が重要となるため、1年に1度は検査を受けることをおすすめします。
胃カメラでは、食道・咽頭、胃、十二指腸に発症した病気を観察できます。
症状がある場合はもちろんのこと、症状がない場合でも胃カメラ検査により病気を発見することが可能です。
自覚症状がほとんどない初期の胃がんや食道がんも発見できるため、まだ一度も胃カメラ検査を受けたことのない方はぜひこの機会に受診を検討してみてください。
大沼田メディカルクリニックでは、痛みの少ない経鼻内視鏡による胃カメラ検査を行っています。
鎮静剤の点滴によりウトウトと眠ったような状態で検査を受けられるため、初めての胃カメラ検査で不安な方もぜひ当院まで気軽にご相談ください。
当ページに掲載されている情報は、開示日及び発表日当時の情報です。
現在行われているサービスとは情報が異なる場合がございますので、予めご了承ください。
ご予約・お問い合わせ
常に新しい診療をご提供しつつ、患者さまの生活の質(Quality of Life)を損なわない治療を目指しています。
8:30〜12:30 / 15:30〜19:00
休診日 木曜午後、土曜午後、日曜、祝日