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「最近胸やけがする…もしかして逆流性食道炎?」「逆流性食道炎にはどんな症状があるの?」など、気になる症状があり、自分も逆流性食道炎なのではないかと気になっている人もいるでしょう。
逆流性食道炎になると、胸やけやむかつき、胃もたれ、酸っぱいものがこみあげてくる感じなどさまざま症状が起こります。
この記事では、逆流性食道炎の症状や胃食道逆流症との違い、逆流性食道炎の原因やなりやすい人などについて詳しく解説します。
近年、日本では逆流性食道炎が増えているといわれているため、気になる症状を感じている方は一度詳しい検査を受けてみましょう。
逆流性食道炎とは、胃酸や胃の内容物が逆流することで食道に炎症を起こす病気です。
食道と胃のつなぎ目には「下部食道括約筋」と呼ばれる筋肉があり、食べ物を飲み込んだときは筋肉が緩み、それ以外は胃の入口が閉まった状態になっています。
本来であればこの筋肉によって胃酸が逆流することはありませんが、なんらかの原因によって下部食道括約筋が緩むと、逆流が起こるようになるのです。
健康な人でも胃酸の逆流が起こることはあるものの、一時的であるため問題となることはありません。
しかし、逆流している時間が長くなると、粘液で自らを保護している胃とは異なり胃酸に弱い食道の粘膜が炎症を起こしてしまいます。
治療せず放置すると悪化して生活に支障が出たり、さまざまな合併症を引き起こすリスクもあるため、早めに検査を受けて適切な治療を受けることが大切です。
逆流性食道炎は、胃食道逆流症の一つです。
胃酸や胃の内容物が食道に逆流する病気の総称を「胃食道逆流症」といいます。
そして、胃食道逆流症は症状や粘膜の状態によって2つに分けられ、食道粘膜が炎症しているものを「逆流性食道炎(びらん性胃食道逆流症)」、炎症のないものを「非びらん性胃食道逆流」といいます。
逆流性食道炎の症状は、夜寝るためにベッドに横になった際に症状がひどくなる傾向にあります。立ったり座ったりしている状態では、重力によって逆流が起こりにくくなっているためです。
逆流性食道炎になると、以下のようなさまざまな症状が起こります。
ここからは、それぞれの症状について詳しく見ていきましょう。
逆流性食道炎では、胃酸が食道に逆流することで、胸やけが起こります。
「胸がカーッと熱く焼けるような感覚」と表現する人もいれば「チリチリ焼けるように痛む」という人もいます。
脂っこい食べ物や辛い食べ物、お酒を飲んだ後で胸やけが起こることも多いです。
呑酸(どんさん)も、逆流性食道炎で典型的に見られる症状です。
よく「酸っぱいものがこみ上げてくる感じ」といわれ、胃酸が口腔内まで逆流することで酸っぱい味・苦い味を感じたり、ゲップが出ます。
逆流した胃酸によって、喉や口腔内にも炎症が起こることもあります。
「喉が痛い、いがいがする」「声がかすれる」「口内炎が増えた」といった症状が見られ、ひどくなると食べ物を飲み込みづらくなってしまうこともあります。
逆流性食道炎では、喉がつかえる感じや、不快感を感じることもあります。
喉に原因となる病気がなく、逆流性食道炎の胃酸の逆流によって喉の症状が起こっている場合は「咽喉頭逆流症」と呼ばれます。
逆流の範囲が広くなり、より上の方(咽頭・喉頭)まで及んでしまっている状態です。喉の症状が強い場合、逆流性食道炎とは気づかずに耳鼻科を受診される方もいます。
胸やけがひどくなると、胸から背中にかけて締め付けられるような痛みを感じることがあります。
鈍痛として感じる場合もあれば胸や背中が強く痛むケースもあり、さまざまです。逆流性食道炎による背中の痛みは、背骨のすぐ左側あたりに出やすいといわれています。
その他にも逆流性食道炎では、寝ているときに胃酸が逆流することで慢性の咳や喘息のような症状が起こることもあります。
また、めまい、耳鳴り、腹部膨満感といった症状や、炎症がひどくなるとまれではありますが出血し吐血を起こすこともあります。
逆流性食道炎の原因には、以下のようなものがあります。
ここからは、それぞれの原因について解説します。
食道と胃のつなぎ目である下部食道括約筋が緩むと、胃酸の逆流が起こるようになります。下部食道括約筋が緩む原因はいくつかあり、加齢もその一つです。
高齢になるとぜん動運動も弱くなり、唾液量も減少することから、高齢の方は逆流性食道炎のリスクが高くなります。
このようなことから、逆流性食道炎は高齢の方によく見られる病気といわれていましたが、近年は若い人でも逆流性食道炎になる人が増えています。
食生活も、逆流性食道炎に影響する要素です。近年、日本では食生活の欧米化によって逆流性食道炎の人が増加しているといわれ、成人の10〜20%がかかっているともいわれています。
高脂肪の食事をすると、「コレシストキニン」と呼ばれるホルモンが十二指腸から分泌され、胃酸が増えたり、下部食道括約筋が緩んだりします。
この他、高タンパクな食事、アルコール、コーヒーも胃酸分泌を増やすとされているため、注意しましょう。
また、近年ピロリ菌に感染している人が減ったことも、逆流性食道炎の増加に影響していると考えられています。
ピロリ菌に感染すると萎縮性胃炎を引き起こして胃酸の分泌が低下するため、胃酸の逆流が起こりにくかったのです。
中には、ピロリ菌除菌後に胃酸分泌が活発になり、逆流性食道炎になるケースもあります。
肥満や悪い姿勢、便秘などで腹圧がかかると、食道への逆流が起こりやすくなります。
また、若い人の逆流性食道炎は、「便秘」も原因の一つです。
便秘になると腸によって胃が圧迫され、逆流が起こりやすくなります。便秘になるとお腹に力を入れたり、前かがみの姿勢になったりしますが、これもお腹に圧がかかります。
血圧を下げる薬や、喘息の薬、心臓病の薬などで服用する薬の中には、下部食道括約筋を緩める副作用が出るものもあります。
他の病気の治療のために飲んでいる薬が影響していると考えられる場合は、自己判断で服用を中止せず、必ずかかりつけの医師に相談しましょう。
ストレスも、逆流性食道炎に影響する原因です。ストレスが溜まり続けると自律神経の乱れにつながります。
自律神経は胃腸の働きと関連が深く、バランスが崩れると胃酸が多く分泌され過ぎてしまい、逆流性食道炎をはじめとしたさまざまな病気のリスクを高めるため注意しましょう。
食道裂孔ヘルニアも逆流性食道炎の原因です。
食道裂孔ヘルニアとは、胃の一部が横隔膜の上にはみ出してしまった状態のことで、一度発症すると自然治癒することはありません。
食道裂孔ヘルニア自体は症状がないことが多いですが、逆流性食道炎など気になる症状を感じている場合は早めに検査を受けましょう。
逆流性食道炎になりやすい人の特徴は、以下の通りです。
上記に当てはまる場合、逆流性食道炎を起こしやすい傾向にあるため注意しましょう。
逆流性食道炎は、直接命にかかわる病気ではありません。
しかし、症状が続くと日常生活に影響してしまうことがあります。また、症状が長期に及んだり繰り返したりする場合は、さまざまな合併症を引き起こすリスクがあるため、注意が必要です。
ここからは、逆流性食道炎を放っておいた場合にどのようなリスクがあるか、詳しく解説します。
逆流性食道炎を放置すると、以下のような合併症を引き起こす危険があります。
睡眠と逆流性食道炎は一見無関係のように思うかもしれませんが、逆流性食道炎の症状は横になったときに強くなります。
「夜中に何度も目が覚める」「咳が出て眠れない、熟睡できない」といった症状につながり、睡眠障害につながることもあるため注意しましょう。
胃酸の逆流が長期的に続くと、バレット食道という状態になってしまうことがあります。
バレット食道とは、胃酸の逆流が繰り返されることで食道の粘膜(扁平上皮)が「円柱上皮」に置き換わる状態のことです。
バレット食道になると食道がんのリスクが高まることから、食道がんの前がん病変と考えられています。
逆流性食道炎は放置せず、早めに検査を受け、適切な治療を受けることが大切です。
逆流性食道炎の主な検査方法として、ここでは「問診・診察」「胃カメラ検査(胃内視鏡検査)」について解説します。
胸やけや呑酸といった症状があり、問診や診察で医師が逆流性食道炎であると判断した場合、その他の検査は行わないこともあります。
この場合、胃酸分泌を抑える薬などを使った治療を行い、様子を見ます。
逆流性食道炎であるかどうかを正確に調べるためには、胃カメラ検査(胃内視鏡検査)を行う必要があります。
胃カメラ検査とは、口もしくは鼻から内視鏡を挿入し、体内を医師が直接観察可能な検査のことです。粘膜の状態を確認し、炎症などによって粘膜がダメージを受けている場合は逆流性食道炎と診断されます。
胃カメラ検査では、食道裂孔ヘルニアの有無、がんやポリープなどの腫瘍、ピロリ菌感染も確認可能です。
逆流性食道炎の治療は大きく分けて、以下の3つがあります。
手術は患者さんの体への負担が大きくなるため基本的には生活習慣の改善と薬物療法で治療を行い、どうしても必要と考えられる場合に手術が選択されます。
逆流性食道炎は、症状の軽い軽度のものであれば自然治癒するケースもあります。
しかし、逆流性食道炎による合併症や食道がんリスク上昇などを考えると、安易に放置することは推奨できません。
また、脂肪の多い食事や過度な飲酒・喫煙といった生活習慣により逆流性食道炎が引き起こされている場合は、他の病気を併発している可能性も考えられます。
症状が続く、繰り返すといった場合は早めに病院を受診することが大切です。
逆流性食道炎は、胃酸が逆流を起こすことで、胸やけ・呑酸・喉の痛みや不快感・胸や背中の痛みなどさまざまな症状が引き起こされます。
逆流性食道炎そのものは命にかかわる病気ではないものの、放置すればバレット食道を引き起こし食道がんのリスクを大きく高めてしまうことになるため注意が必要です。
大沼田メディカルクリニックでは、患者さんがなるべく苦痛を抑えて検査が受けられるよう、鎮静剤を使用した鼻からの胃カメラ検査を行っています。
胃カメラ検査では逆流性食道炎の他にも胃がん、食道がん、十二指腸がん、ピロリ菌感染などが調べられるため、胃の不調を感じている方もそうでない方も、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。
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