コラム

胃カメラは鼻と口どっちが楽?鎮静剤は必要?経鼻内視鏡のメリットデメリットも解説

公開日:2025.01.20

胃カメラは鼻と口どっちが楽?鎮静剤は必要?経鼻内視鏡のメリットデメリットも解説

鼻からの胃カメラ検査を検討した際に気になるのが「胃カメラは鼻からの方が苦しくないって本当?」「口からと鼻からどっちがいいの?」といった疑問ではないでしょうか。

胃カメラ検査というと「口からカメラを入れるときにオエッとなる」というイメージをお持ちの方も少なくないようです。

しかし、鼻からの胃カメラ検査ではオエッとなる咽頭反射が起こりにくいという特徴があります。

この記事では、胃カメラ検査の4パターンの検査方法、鼻からの胃カメラ検査のメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。

初めての胃カメラ検査で不安がある方、胃カメラ検査に苦手意識がある方はぜひ記事をチェックしてみてください。

胃カメラ検査の方法は主に4パターン

胃カメラ検査の方法は主に4パターン

胃カメラ検査の方法は大きく分けて、口から行う検査と鼻から行う検査の2つがあります。

いずれの検査方法でも「鎮静剤」を使用でき、検査中の苦しさや不快感を緩和しながら検査が可能です。

  1. 口から(経口内視鏡)+鎮静剤なし
  2. 口から(経口内視鏡)+鎮静剤あり
  3. 鼻から(経鼻内視鏡)+鎮静剤なし
  4. 鼻から(経鼻内視鏡)+鎮静剤あり

ここからは、上記4パターンの検査方法について詳しく解説します。

1:口から(経口内視鏡)+鎮静剤なし

口からの胃カメラ検査では、直径8〜9mmほどの「経口内視鏡」を使用して検査を行います。

経口内視鏡は操作性に優れ、病変を発見した際はさまざまな器具を挿入して処置できることが特徴です。

吸引口も大きいため水や空気もしっかり吸い上げられ、検査時間を短縮できます。

一方、経口内視鏡は挿入時に咽頭部を通過しますが、このときスコープが舌の付け根に触れると、咽頭反射(嘔吐反射)が起こります。

「胃カメラ検査は苦しい」というイメージを持たれがちなのは、この咽頭反射によるものが大きいです。

歯磨きや舌磨き、緊張した際にオエッとなる方の場合、鎮静剤なしの経口内視鏡はつらく感じるかもしれません。

なお、クリニックによっては経口内視鏡よりも細い経鼻内視鏡を使った経口内視鏡検査(鼻用の胃カメラを口から挿入する検査)を実施しているところもあります。

2:口から(経口内視鏡)+鎮静剤あり

口からの胃カメラ検査で起こりがちな咽頭反射を抑えるには、鎮静剤の使用が有効です。

胃カメラ検査で使用する鎮静剤の種類はいくつかあり、クリニックによっても種類は異なりますが、「うとうとした状態で検査を受けられる」「半分眠ったようになり、不安や苦痛が和らぐ」という特徴があります。

咽頭反射が起きやすい方、胃カメラ検査への不安や緊張が大きい方は、鎮静剤を使用するのがおすすめです。

なお、鎮静剤の効き目はしばらく続くため、検査後は1時間ほどクリニック内で安静にして過ごす必要があります。

3:鼻から(経鼻内視鏡)+鎮静剤なし

鼻から挿入する経鼻内視鏡は直径5〜6mmほどで、経口内視鏡よりも細い内視鏡です。

経鼻内視鏡は舌の付け根を通過しないため、経口内視鏡で起こりがちな咽頭反射が起きにくいというメリットがあります。また、細いため検査中の圧迫感や違和感も軽減されます。

スコープが口を通らないため検査中も呼吸がしやすく、鎮静剤を使用しない場合は検査中に医師や看護師との会話も可能です。

経鼻内視鏡の場合、嘔吐反射が起こりにくいため鎮静剤なしでも胃カメラ検査が受けやすく、「鎮静剤を使うのは怖いが、なるべく楽に検査を受けたい」「忙しいため鎮静剤は使わずに胃カメラ検査がしたい」という方におすすめです。

4:鼻から(経鼻内視鏡)+鎮静剤あり

できるだけ胃カメラ検査での負担を抑えたい方は、鎮静剤を使った経鼻内視鏡検査がおすすめです。

経鼻内視鏡を使うことで苦痛を軽減しつつ、鎮静剤も使用することで、半分眠ったような状態で不安や緊張を抑えて検査が行えます。

「経鼻内視鏡でもつらかった」「胃カメラ検査で過去につらい思いをした」「初めての胃カメラ検査で不安」という方は、鎮静剤ありの経鼻内視鏡検査を検討してみましょう。

大沼田メディカルクリニックでは、鎮静剤を使用し、患者さんの負担を抑えた経鼻内視鏡検査を行っています。

鼻からの胃カメラ検査のメリット

鼻からの胃カメラ検査のメリット

鼻から行う胃カメラ検査のメリットは、以下の通りです。

  • 咽頭反射(嘔吐反射)が起こりにくい
  • 鎮静剤なしでも検査しやすい
  • 違和感が少ない
  • 検査中に医師と会話ができる

ここからは、それぞれの項目について詳しく解説します。

咽頭反射(嘔吐反射)が起こりにくい

鼻から行う胃カメラ検査は、口を経由することなく食道へ入っていくため、スコープの挿入時に咽頭反射(嘔吐反射)が起こりにくいことが大きなメリットです。

咽頭反射の起こりやすさには個人差がありますが、咽頭反射がひどく何度も「オエッ、オエッ」としてしまうと、食道と胃の境目から出血することもあり、患者さんは苦しい思いをすることになります。

また、何度も咽頭反射が起きていると胃カメラの繊細な操作が難しくなり、検査精度が低下してしまいかねません。

咽頭反射を防ぐことは苦痛の軽減だけでなく、病変の見逃しにもつながります。

鎮静剤なしでも検査しやすい

経鼻内視鏡を使う鼻からの胃カメラ検査は咽頭反射が起こりにくいため、鎮静剤(静脈麻酔)なしでも検査を受けやすいこともメリットです。

口からの胃カメラ検査の場合、鎮静剤を使用しないと咽頭反射や違和感による苦しさを感じやすい傾向があります。

鎮静剤を使用すると、薬の作用によってぼんやりした状態で検査ができますが、検査後しばらく効果が続きます。

鎮静剤の効果が切れるまで1時間ほど安静にする必要があるため、どうしても時間が取れない方は鎮静剤を使わない経鼻内視鏡を選ぶと、負担を減らして検査が受けられるでしょう。

大沼田メディカルクリニックでは鎮静剤を使った経鼻内視鏡を行っていますが、ご要望があれば鎮静剤を使用しない検査や、麻酔の拮抗薬を用いて早めに麻酔から覚ますことも可能です。

違和感が少ない

経口内視鏡は直径8〜9mmですが、経鼻内視鏡は直径5〜6mmほどです。

より細く、口を経由しないため喉の違和感が少ないというメリットがあります。細い分、胃の中に入るときの抵抗も少ないです。

検査中に医師と会話ができる

経鼻内視鏡は鼻の穴にスコープを通すため、口が塞がれることがありません。そのため、鎮静剤を使用しない場合は検査中に医師や看護師と会話が可能です。

会話をしながら検査を進めたり、気になることをその場で質問したりできます。

なお、鎮静剤を使用した場合でも検査後に検査中に撮影した画像を確認しながら、消化器官の状態についての説明を受けられるため心配はありません。

鼻からの胃カメラ検査のデメリット

鼻からの胃カメラ検査のデメリット

メリットの多い鼻からの胃カメラ検査ですが、いくつかのデメリットもあります。

  • 鼻腔が狭い場合は挿入が難しいことがある
  • 経口内視鏡に比べてやや画質が劣る場合がある
  • 鼻の粘膜が傷つき鼻血が出ることがある
  • 行える処置が限られる

鼻からの胃カメラ検査を検討している場合は、デメリットも把握した上で安心して検査が受けられるようにしましょう。

ここからは、それぞれの項目について詳しく解説します。

鼻腔が狭い場合は挿入が難しいことがある

経鼻内視鏡は経口内視鏡よりも細くなっていますが、鼻腔が狭い方の場合、挿入が難しいことがあります

片方の鼻腔が狭い場合は反対側の鼻腔から経鼻内視鏡を挿入しますが、両方とも鼻腔が狭く、鼻からの挿入が難しい場合は、口から入れて検査をすることになります。

鼻中隔彎曲症の方や鼻を手術した方、鼻炎や花粉症の症状が強い方も経鼻内視鏡検査が難しいことがあるため、事前に確認しておきましょう。

経口内視鏡に比べてやや画質が劣る場合がある

経鼻内視鏡はスコープの直径が細く、挿入時の刺激や違和感を軽減できる反面、経口内視鏡に比べると画質が劣るデメリットがあるといわれていました。

しかし、近年の技術進歩によって鮮明で高画質な経鼻内視鏡が登場しており、経口内視鏡に劣らない質の高い検査ができるようになっています。

鼻の粘膜が傷つき鼻血が出ることがある

鼻に麻酔を施すため痛みはほとんどありませんが、経鼻内視鏡の挿入時には鼻の粘膜が傷つくことで鼻血が出ることがあります

鼻血が出た場合も多くはしばらくすると止まるため、問題はありません。

ただし、普段から鼻血が出やすい方、血液をサラサラにする薬を服用している方、血の止まりにくい疾患をお持ちの方、高血圧の方は鼻からの出血が止まりにくい場合があります。

中には経鼻内視鏡が向かないケースもあるため、胃カメラ検査前の問診で必ず伝えておきましょう。

行える処置が限られる

経鼻内視鏡は経口内視鏡よりも細いため、鉗子口(さまざまな処置具を内視鏡先端から出すための口)も細くなっています。

そのため、病変によっては経鼻内視鏡での処置が難しいことがあります

胃カメラを鼻から入れるときの流れ

胃カメラを鼻から入れるときの流れ

ここからは、鎮静剤を使用した鼻からの胃カメラ検査の流れを紹介します。

  1. 鼻に麻酔をし鎮静剤点滴をする
  2. 鼻からスコープを挿入する
  3. 喉頭・食道・胃・十二指腸の内部を検査する
  4. 横になって休息
  5. 検査結果の確認

経鼻内視鏡での胃カメラ検査は、主に上記のような手順で進行します。ここからは、それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。

1:鼻に麻酔をし鎮静剤点滴をする

検査前日・当日の事前準備を済ませたら、クリニックで受付をします。

スコープを挿入する際の不快感や痛みの軽減のため鼻の穴に麻酔をし、検査台に横になって、鎮静剤の点滴を行います。

2:鼻からスコープを挿入する

数分ほどで鎮静剤が効いてくると、意識レベルが低下してぼんやりした状態になります。

しっかり鎮静剤が効いた状態で鼻から経鼻内視鏡を挿入するため苦しさや痛みが軽減され、リラックスした状態で検査が可能です

3:喉頭・食道・胃・十二指腸の内部を検査する

医師がモニターに映し出される粘膜の画像を確認しながら経鼻内視鏡を操作し、喉頭・食道・胃・十二指腸を5〜10分ほどかけて隅々までしっかりと検査します

4:横になって休息

鎮静剤の効果はすぐに切れるわけではないため、検査後はクリニック内の専用スペースで1時間ほど横になって安静にして過ごします。

5:検査結果の確認

麻酔から覚めたら、検査結果の確認です。

胃カメラ検査で撮影した画像を見ながら、臓器内部はどのような状態か、病変の有無、今後の治療方針などについて説明します。

組織採取を行った場合は生検の結果が出るまで数日〜2週間ほどかかるため、再度来院が必要です。

鼻からの胃カメラ検査に関するQ&A

鼻からの胃カメラ検査に関するQ&A

ここでは、鼻からの胃カメラ検査に関するQ&Aを紹介します。

Q:花粉症や鼻炎でも鼻からの胃カメラは可能?

花粉症や鼻炎の方でも経鼻内視鏡を行うことは可能です。

ただし、これらの症状が強く出ており、鼻腔が狭くなっている、粘膜が弱っているといった症状がある場合は、鼻から胃カメラを挿入することが困難な場合があります。

これらの症状のある方は、まずは一度クリニックに相談してみましょう。

Q:鼻からの胃カメラ検査が受けられない人は?

鼻からの胃カメラ検査が受けられない可能性があるのは、以下の方です。

  • 花粉症や鼻炎などの症状が強く出ている方
  • 鼻ポリープ(鼻茸)のある方
  • 鼻の手術を受けた方
  • 鼻腔が狭い方
  • 鼻中隔湾曲症の方
  • 鼻血が出やすい方

自分が経鼻内視鏡を受けられるかどうか気になる方は、一度クリニックに相談してみるのがおすすめです。

Q:鼻からの胃カメラ検査後に鼻血が出てきたらどうすればいい?

まれに、鼻からの胃カメラ検査後に鼻血が出ることがあります。

ほとんどの場合は3〜5分ほど圧迫することで血は止まるため心配ありませんが、抗凝固薬のような血液をサラサラにする薬を飲んでいる方や、高血圧の方、鼻血が出やすい方は注意が必要です。

服用中の薬や体質、気になるポイントなど、問診時に必ず伝えておきましょう。

Q:鼻か口で胃カメラ検査の費用に違いはある?

胃カメラ検査の費用は、鼻からの場合も口からの場合も大きな差はありませんが、鼻から行う胃カメラの方が若干費用が安いことが多いです。

まとめ

胃カメラ検査というと苦しい検査のイメージをお持ちの方も少なくありませんが、鼻から挿入できる経鼻内視鏡の登場によって、これまでよりも楽に検査ができるようになっています。

経鼻内視鏡はオエッとなりにくいため、胃カメラに苦手意識がある方、初めての胃カメラで不安がある方は、ぜひ鼻からの胃カメラ検査を検討してみてはいかがでしょうか。

大沼田メディカルクリニックでは、患者さまへの負担を抑えるために「鎮静剤を使用した経鼻内視鏡検査」を行っています。

鎮静剤を使用するため、うとうとした状態で検査でき「気づいたら検査が終わっていた」と感想をいただくことも多いです。

胃カメラ検査を躊躇っている方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。

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