コラム

胃カメラで鎮静剤を使うべき?メリットデメリット&つらくない内視鏡検査方法

公開日:2025.01.20

胃カメラで鎮静剤を使うべき?メリットデメリット&つらくない内視鏡検査方法

胃カメラ検査(胃内視鏡検査)と聞くと「オエッとなる」「苦しい」というイメージがあり、どうしても検査を受けるのに抵抗を感じてしまう方は少なくありません。

胃カメラの不快感やつらさを抑えて検査したい方には、「鎮静剤を使った検査」や「鼻からの胃カメラ検査」がおすすめです。

この記事では、胃カメラ検査に使用する麻酔や鎮静剤、鎮静剤を使用するメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。

胃カメラ検査は、胃の炎症やポリープ、ピロリ菌の感染、さらには胃がんや食道がんなどの病気の早期発見のために重要な検査です。

つらくない胃カメラ検査を受けたいとお考えの方は、ぜひ記事を最後までチェックしてみてください。

胃カメラ(胃内視鏡検査)で鎮静剤を使う理由は?

胃カメラ(胃内視鏡検査)で鎮静剤を使う理由は?

中には「なぜ胃カメラ検査(胃内視鏡検査)で鎮静剤を使うの?」と、鎮静剤の必要性が気になる方もいるでしょう。

鎮静剤は、胃カメラ検査に伴う不快感や不安を軽減するために使用します。

胃カメラ検査は、どんなに経験豊富で技術を持った医師が検査を行ったとしても、どうしてもある程度の違和感や不快感が出てしまうものです。

「過去に胃カメラ検査を受けてつらい思いをした」「しんどいというイメージからなかなか検査を受けられないでいる」といった方も多く、検査を先延ばしにするうちに病気の発見が遅れ、進行してしまう可能性があります。

このような胃カメラ検査のつらさを緩和するために、鎮静剤が導入されています。

なお、鎮静剤は必須というわけではなく、希望すれば鎮静剤を使わない胃カメラ検査も可能です。鎮静剤を使用しようかどうか、迷っている場合は一度医師に相談してみるといいでしょう。

胃カメラ検査とは?使用する内視鏡の種類

胃カメラ検査とは?使用する内視鏡の種類

胃カメラ検査は、正式には「上部消化管内視鏡検査」といい、先端にカメラの付いた機器を使って喉・食道・胃・十二指腸の検査を行います。

検査方法は内視鏡の種類別に大きく分けて、下記の2通りがあります。

  • 経口内視鏡(口からの胃カメラ検査)
  • 経鼻内視鏡(鼻からの胃カメラ検査)

ここからは、それぞれの検査方法について詳しく見ていきましょう。

経口内視鏡(口からの胃カメラ検査)

経口内視鏡は、口からスコープを挿入して検査する際に用いられる内視鏡です。胃カメラと聞くと、この口からの検査を想像する方が多いでしょう。

直径は8〜9mmほどで、口からスコープを挿入する際にカメラが舌の根元に触れるため、オエッとなる咽頭反射(嘔吐反射)が起こり、不快感や苦しさを感じる方が多いと言われています。

咽頭反射は個人差も大きいものですが、咽頭反射を起こしやすい方の場合はつらさを感じやすいでしょう。

経鼻内視鏡(鼻からの胃カメラ検査)

経鼻内視鏡は、鼻から挿入する内視鏡です。

経口内視鏡よりも細い直径5〜6mmほどのスコープを鼻から挿入するため不快感や痛みを感じにくく、カメラが舌の根元に触れず、嘔吐反射が起きにくいことが特徴です。

かつては経口内視鏡よりも視野が狭いという欠点がありましたが、近年は技術が進歩したことで鮮明な映像が確認できるようになっています。

経鼻内視鏡の場合、痛みや不快感を会話できるため、鎮静剤を使わずに検査するクリニックもあります。鎮静剤を使わない場合、検査中に医師と会話することも可能です。

胃カメラ検査で使われる麻酔・鎮静剤

胃カメラ検査で使われる麻酔・鎮静剤

胃カメラ検査では、苦痛や違和感を軽減するために「表面麻酔」や「鎮静剤(静脈麻酔)」を使用します。

経口内視鏡検査・経鼻内視鏡検査のどちらでも使用されることがありますが、クリニックによっても方針が異なるため気になる方は事前に確認しておきましょう。

表面麻酔

表面麻酔とは局所麻酔の一つで、施術部位の表面の感覚を麻痺させて痛みや不快感を抑えるために使用します。

胃カメラ検査の場合、スプレータイプのものやゼリー状の表面麻酔を、喉や鼻の粘膜に対して使用します。

表面麻酔は「リドカイン」が使われることが一般的です。

副作用はほぼありませんが、喉の麻酔を使用する場合は、検査後1時間ほど飲食を避ける必要があります。

なお、当院の経鼻内視鏡検査では喉の麻酔を使用しないため、胃カメラ検査後すぐに飲食可能です。

鎮静剤(静脈麻酔)

胃カメラ検査に使用する鎮静剤(静脈麻酔)も麻酔の一種です。胃カメラを挿入する前に、静脈から鎮静剤を点滴で投与します。

胃カメラで使用する鎮静剤は全身麻酔とは異なり、呼びかけに反応する程度の「意識下鎮静」で行います。

鎮静剤の効き方には個人差もあり中には眠ってしまう方もいますが、「ぼんやりした状態」「うとうとした状態」で、胃カメラ検査の不安や緊張を和らげて検査が可能です。

胃カメラ検査で鎮静剤を使用するメリット

胃カメラ検査で鎮静剤を使用するメリット

胃カメラ検査で鎮静剤を使用することで、以下のようなメリットがあります。

  • 苦痛や不安を和らげて楽に検査が受けられる
  • 咽頭反(嘔吐反射)が起こりにくくなる
  • 病変の見落とし防止につながる

また、このようなメリットにより受けるべきタイミングで胃カメラ検査を受けられれば、病気の早期発見にもつながることも、大きなメリットです。

ここからは、それぞれの項目について詳しく解説します。

苦痛や不安を和らげて楽に検査が受けられる

普段の生活で、鼻や口からカメラを入れることはまずありません。そのため、胃カメラ検査ではどうしても緊張や不安感が生じるものです。

過去に胃カメラ検査でつらい思いをした方や、人から「胃カメラがしんどかった」という体験談を聞いたことのある方であれば、より不安が強くなるでしょう。

鎮静剤を使用すると、うとうとして半分眠ったような状態になるため、楽に検査を受けられます。

痛みが苦手な方や、初めての胃カメラで不安が強い方には、鎮静剤を使用した胃カメラがおすすめです。

咽頭反射(嘔吐反射)が起こりにくくなる

咽頭反射が起こりにくくなることも、胃カメラで鎮静剤を使用するメリットです。

経口内視鏡検査(口からの胃カメラ検査)の場合、カメラが舌の根元部分に当たることで、オエッとなる咽頭反射(嘔吐反射)が起きてしまいやすいです。

咽頭反射がひどいと、患者さんがつらい思いをするだけでなく、医師が喉・食道・胃・十二指腸の状態を十分に検査することが困難になってしまう可能性があります。

しっかり検査を行うためにも、鎮静剤によって嘔吐反射を抑えることが有効です。

病変の見落とし防止につながる

どんなに経験を積んだ高い技術を持つ医師でも、胃カメラ検査中の咽頭反射がひどく、患者さんが苦しそうにしていれば焦りが生まれてしまうものです。

反対に、鎮静剤によって半分眠ったようなリラックスした状態であれば、医師は患者さんを心配することなく、喉や食道、胃、十二指腸の検査に集中できます

鎮静剤は苦痛の緩和だけでなく、精度の高い検査ができる状態を整えることで、小さな病変の見落としを防ぐことにもなります。

胃カメラ検査で鎮静剤を使用するデメリット

胃カメラ検査で鎮静剤を使用するデメリット

胃カメラ検査での鎮静剤使用には、いくつかのデメリットもあります。

  • 検査後しばらく安静にする必要がある
  • 検査中のことを覚えていないことがある
  • 検査当日は眠気が続くことがある
  • 車やバイクでの帰宅ができない
  • 副作用が起こることがある

鎮静剤を使用する場合は、デメリットを理解した上で検査を受けることが大切です。ここからは、それぞれのデメリットについて解説します。

検査後しばらく安静にする必要がある

鎮静剤は点滴で投与しますが、検査終了と同時に効果が切れるわけではありません。

鎮静剤を使用した検査後しばらくは鎮静作用が続くため、1時間ほど病院内で休む必要があります。

そのため、予定がある場合は安静にする時間を含めた上で余裕を持ってスケジュールを組む必要があるでしょう。

検査中のことを覚えていないことがある

鎮静剤の効き方には個人差があり、中にはぐっすり眠ったようになって、検査中の記憶がないという方もいます。

モニターで自分の食道や胃の状態を見たい方や、医師と会話しながら検査を進めたい方にとっては、デメリットと感じるかもしれません。

しかし反対に、「もう検査が終わったの?」「全然覚えていない」と、苦痛なく胃カメラ検査を受けられたことをメリットと感じる方も多くいます。

検査後には写真による説明を受けることができるので、大きなデメリットではないといえるでしょう。

検査当日は眠気が続くことがある

鎮静剤を使用した場合、安静にする時間を取った後も、検査当日は眠気が続くことがあります。

鎮静剤の効き方には個人差もありますが、眠気が続く可能性を考え、大切な予定のある日は避けるようにするなどの工夫をしておくといいでしょう。

車やバイクでの帰宅ができない

胃カメラ検査で鎮静剤を使用する場合、車やバイクでの帰宅は危険なため控える必要があります。

検査当日は電車やバス、徒歩、タクシーなどを利用する必要があるため、前もって調べておきましょう。

副作用が起こることがある

鎮静剤は医薬品であり、血圧の低下や呼吸が弱くなる、アレルギーといったといった副作用が起こる可能性があります。

そのため医師は細心の注意を払った上で鎮静剤を使用し、患者さんの状態を細かく確認しながら検査を進めていきます。

胃カメラ検査で使われる鎮静剤の種類

胃カメラ検査で使われる鎮静剤の種類

胃カメラ検査でよく使われる鎮静剤には、以下のようなものがあります。

  • プロポフォール
  • ミダゾラム(ドルミカム)
  • デクスメデトミジン
  • ジアゼパム

ここからは、それぞれの特徴について解説します。

プロポフォール

プロポフォールは、鎮静効果の持続時間が2~20分程度と短く、検査後に覚醒しやすいことが特徴です。

鎮静効果が安定しており、ミダゾラム(ドルミカム)の効きが悪い方や、深い鎮静が必要な場合に用いられます。

ミダゾラム(ドルミカム)

胃カメラ検査で使用されることが多いのが、ミダゾラム(ドルミカム)です。

鎮静作用・催眠作用・抗不安作用があり、麻酔がかかりやすく覚醒も早いという特徴があります。

ただし、お酒が強い方や普段から抗不安薬などを服用している方などは、薬が効きにくいことがあります。

デクスメデトミジン

デクスメデトミジンは呼吸への影響が少ないことが特徴です。

しかし、効果を得るまでに時間がかかるため検査ではほとんど使われず、内視鏡手術の際に用いられることが多いです。

ジアゼパム

お酒が強い人は、麻酔の効きが悪いことがあります。

ジアゼパムは、過去に麻酔が効きにくかった方や、酒量が多い方に対して選ばれることがある麻酔です。

ただし、検査後も麻酔効果が残りやすいことや、血管痛があるといった欠点もあります。

胃カメラ検査で鎮静剤が効きやすい・効かない理由は?

鎮静剤の効きやすさには、個人差もあります。

鎮静剤が効きやすい傾向にある方、効きにくい傾向にある方のそれぞれの特徴は以下の通りです。

鎮静剤が効きやすい方の特徴
  • 高齢の方
  • 肝臓などの内臓、呼吸器の機能が落ちている方
鎮静剤が効きにくい方の特徴
  • 普段からお酒をたくさん飲む方
  • お酒に強い方
  • 普段から抗不安薬やうつ病の薬、痛み止め、睡眠薬、アレルギーの薬などを服用している方

鎮静剤が効きにくい方の場合でも、様子を見ながら鎮静剤の量を増やしていけば効き目が現れ、ぼんやりした状態で胃カメラ検査を受けられるため、心配はありません。

胃カメラ検査で鎮静剤を使用できないケースもある

基本的に、希望すればどなたでも鎮静剤を使用できますが、中には鎮静剤の使用が難しい場合もあります。

  • 麻酔薬にアレルギーがある方
  • 妊娠中や授乳中の方・妊娠の可能性のある方
  • 高齢者の方(医療機関によっては75歳以上は鎮静剤の制限を設けている場合がある) など

クリニックによって対応は異なるため、事前に確認しておきましょう。

初めての方・苦手な方は負担の少ない鼻からの胃カメラがおすすめ

初めての方・苦手な方は負担の少ない鼻からの胃カメラがおすすめ

「胃カメラ検査を初めて受けるので心配」「過去に胃カメラでつらい思いをして苦手意識がある」といった方は、「鎮静剤を使用して行う鼻からの胃カメラ検査(経鼻内視鏡検査)」がおすすめです。

経鼻内視鏡を使用する鼻からの胃カメラ検査は口からの胃カメラのような咽頭反射が起こりにくく、カメラも小さいため違和感を抑えて胃カメラ検査ができます。

さらに鎮静剤を使用することで不安や緊張も緩和でき、リラックスした状態で精度の高い検査が可能です。

まとめ

胃カメラ検査は、苦痛や不安の緩和のため、鎮静剤が用いられます。

鎮静剤使用後は安静にする時間が必要であったり、車やバイクでの帰宅ができないといった制限もあるものの、「楽に検査が受けられる」「オエッとなりにくい」「病変の見落とし率を下げられる」など、デメリットを上回るメリットがあることも事実です。

胃カメラ検査では、胃潰瘍やポリープ、胃がんや食道がんといったさまざまな病気を早期発見できるため、検査を躊躇っている方は鎮静剤を使用した検査を検討してみましょう。

大沼田メディカルクリニックでは、鎮静剤を使用した負担の少ない経鼻内視鏡検査を行っています。

初めての検査に不安がある方も、胃カメラ検査に苦手意識がある方も、不快感や不安を緩和した上で検査が受けられますので、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。

ご予約・お問い合わせ

常に新しい診療をご提供しつつ、患者さまの生活の質(Quality of Life)を損なわない治療を目指しています。

8:30〜12:30 / 15:30〜19:00
休診日 木曜午後、土曜午後、日曜、祝日